ゼロから学ぶビットコイン。マイニング事業の可能性と今後のビットコイン普及について解説しました。

ビットコインを手に入れる方法は、取引所で購入する方法と、マイニング(採掘)して入手するという方法があります。
今回は「ビットコインって今からでも儲かるのか?」について、初心者でもわかるように解説してみました。

 

ビットコインの歴史

2008年にサトシナカモトというイギリス人が論文を発表。
その論文に賛同した世界中のプログラマーが集まり、国家にコントロールされない通貨を開発しようということになりました。
こうしてできた暗号通貨が「ビットコイン」で、2009年から運用が開始されます。

現在、世界中の暗号通貨取引所で取引される暗号通貨は約1600種類。ビットコインはそれぞれの暗号通貨と交換できる基軸通貨となっています。

参考)暗号通貨の時価総額ランキング
https://coinmarketcap.com/ja/

ビットコインの価格(1BTC)は、最高値で、2011年に32ドル、2013年に266ドル(キプロス危機)、2014年に800ドル、2017年には22000ドルとなりました。

 

2040年までに現金が無くなる?

「20年後に紙のお金は使われなくなる」と、日銀のIT部門(フィンテックセンター)の方が言ったそうです。

資産のIT化(FINTCH)の潮流の中で、スマホアプリによるクレジットカードの一元管理ができたり、
ApplePayやLINEPayのような決済手段も増えてきてきました。
また、10年前には全く認知がなかったデビットカードも最近ではテレビCMでお馴染みのものとなっております。
このように、どんどんキャッシュレス化が進んでくると、造幣局も紙幣を刷る必要がなくなってきます。

財布はスマホに代わりつつありますが、スマホを紛失しても大丈夫なのがIT化社会の素晴らしいところで、
IT化された資産はクラウド上で管理され、スマホ自体も顔認証でブロックできますので、
財布にお金を入れて管理することの方が危険だということになってきます。

実際、キャッシュレスは海外では日本よりも進んでいます。
米国ではクレジットカードの普及が進んでおり、高額の紙幣が店頭で使われるケースは少ないですし、北欧では店舗で現金のやりとりする光景はほぼ消滅したと言われています。また、中国では、スマホさえあればQRコードを読み込むことで、店頭でもすぐに電子決済ができます。キャッシュレス化は、どの国家にとっても好都合で、全ての取引が電子情報として記録されるため、マネーロンダリングの抑制にもつながると期待されています。

とはいえ、すでに日本は世界でも類を見ないほどの「電子マネー大国」ともいえます。
『楽天Edy』や『WAON』『nanaco』など、これほど多くの種類の電子マネーが幅広く使われている国は珍しいそうです。
スウェーデンでは、相手の携帯電話番号を使って送金ができるアプリが活用され、割り勘などの個人間取引もできます。
日本でも個人間取引がアプリで行われるようになれば、いよいよ現金は不要のものとなるでしょう。

 

銀行は不要のものとなる?

2011年に、みずほ銀行のすべてのATMが3日間停止するという大規模障害がありました。
銀行預金を管理しているメインサーバーがダウンしたことが原因で数百億円の延滞金の損害がでました。

このような事態を防ぐために、銀行は今後も、安定稼働とセキュリティ維持のために莫大なコストをかけていかなくてはならない状況です。

また、全国にある銀行のATMは40万台、年間の維持費は2兆円かかっています。
それを負担しているのは利用者であり、時間外手数料から捻出されています。

※)ちなみに世界銀行の試算によれば、2014年の国際送金サービスの送金額は1,870億ドルでした。

このように、お金を使うにも、お金を守にも、様々なコストがかかっており、
これをもっとリーズナブルに運用できないかという解決手段のひとつがブロックチェーンです。
ブロックチェーンのメリットとして、手数料の軽減と不正防止、安定運用があげられます。
現在、世界中の様々な金融機関が生き残りをかけて、ブロックチェーンの実証実験を行っています。

ビル・ゲイツ氏は「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」と発言しました。

というのも、暗号通貨を活用すると、仲介者なしに直接的に受け渡しが可能で、銀行の存在なしにお金の送金が実現しますし、ブロックチェーン上に預金ができますので銀行に預金する必要もありません。
銀行の重要な業務である貸付に関しましても、ブロックチェーン上の取引履歴を活用することで与信ができるため、誰でもお金の貸し借りができることになります。

さらに、ブロックチェーンの活用方法の1つである「スマートコントラクト」とは、定められた条件に沿って一連の取引を自動で執行することを指しますが、これにより、貸付業務および与信業務を自動化することが可能になるのです。

 

自動車メーカーのブロックチェーン参入

メルセデスベンツはブロックチェーンの活用で、購入後1日で納車ができるようになったそうです。
日本の場合、最低2週間かかるわけですが、メルセデスベンツの場合、在庫情報や保険や車庫証明などの手続きを1つの台帳で行うことにより可能になりました。他にも、BMW、ポルシェ、フォルクスワーゲン、トヨタもブロックチェーン活用の検討を示唆しています。

またベンツのメーカー企業であるダイムラーは、独自仮想通貨(MobiCoin)の発行を発表しました。
車を運転するとき専用のアプリをインストールし、車の運転をすると車から運転データはダイムラー社に送信され、モバイルアプリに保存されるmobiCOINに変換されるそうです。

 

ビットコインは飲食店の救世主に?

2016年末にビットコイン決済を導入した店舗は26万店舗を突破、おそらく現在は60万店舗になっていると思われます。
ビックカメラを皮切りに、リクルートもAirレジにて「ビットコイン」決済の取り扱いを開始しており、
ホットペッパーやホットペッパビューティに出稿する店舗が軒並み導入しております。
また、ぐるなびPayもビットコイン決済が可能になっています。

特にクレジットカード利用の多い飲食店では、収益を圧迫するカード手数料が激減しますし、
今までカード手数料を顧客に負担させる店舗にとっても、お客さんを呼び込むフックになります。

またビックカメラの場合、導入を皮切りに、ビットコイン決済を求める欧米人、中国人の爆買い顧客が増え、売り上げがアップし、ヤマダ電機もそれに追随して、ビットコイン決済を導入しました。

このように飲食店利用者のみならず、海外旅行者を獲得するためにもビットコイン決済の重要度は日に日に増しています。

 

銀行も仮想通貨を発行

2017年末に三菱東京UFJ銀行が仮想通貨「MUFGコイン」初公開しました。

そして、国内のメガバンクの第3位であるみずほ銀行も独自仮想通貨「Jコイン」の実験開始しました。
Jコインはゆうちょや70の地銀と連動することが盛り込まれています。

両者とも1コイン=1円となっており価格変動はないためユーザにとっては投機対象にはなり得ませんが、
銀行にとっては、独自の経済圏を作ることによる顧客囲い込みができます。

このような金融機関同士の競争が加速すればするほど、どんどんキャッシュレス化が加速されることでしょう。

銀行が暗号通貨を発行することですから、当然ATMでも取り扱いがされることになります。
一説によると東京オリンピックまでに全国のATMでビットコインとの交換ができるようになるようです。

 

経済危機でビットコイン価格が高騰

2013年にキプロス危機がおこりました。
これはキプロスの預金口座に課税をするという法案が出たことをきっかけに、
2週間の銀行封鎖がおこなわれました。

この時に多くのお金がビットコインに流れ、結果的に相場は10倍にあがりました。
預金封鎖をする前にビットコインに資産を移していた資産家は、預金カットの影響を受けることなく資産を守ることができたといいます。

このように、どこかの国の経済が破綻すると、結果的に暗号通貨にお金が流れるだろうと予測されています。
というのも、世界の経済は連動しているという外貨両替への不安要素と暗号通貨への両替の簡便性があるからです。
そもそも経済封鎖されたらひとたまりもありませんから、国家にコントロールされない暗号通貨も資産形成の選択肢に入ってくるのです。

 

ビットコインのマイニング(採掘)について

ビットコインの入手方法といえば、取引所で買うことのほかに、マイニングするという方法があります。
基本的には誰でも参入可能で、専用のマイニングマシンを買って、電力コストさえかければ、マイニングは可能です。

以前では1個人でもパソコンを使ってビットコインを採掘することができましたが、多くの企業が参入したことにより、1個人で採掘することは、ほぼ絶望的になってきています。

また企業間でも競争激化しており、それぞれの得意分野を生かした複数企業のチーム編成が行われています。

 

ビットコインは2100万BTCのうち8割が採掘済み

ビットコインはデジタルの「金」になぞらえて考えることができます。
世界中の「金」の埋蔵量は21万トンといわれており、すでに16万トンが採掘済みです。

一方で、ビットコインは総発行量2100万BTCのうち80%がマイニング済みとなっています。

採掘の見返りとなる報酬は、1ブロック形成(10分毎)につき、現在は12.5BTCですが、
サトシ・ナカモトが設定した4年ごとの「半減期」によって、2020年には6.25BTCに下落することになっています。

コインが公開された2009年には、1ブロック形成につき50BTCが支払われておりましたから、ビットコインの価値は自ずと高まらざるを得ないような設計になっていると言えるでしょう。

 

ビットコインは投機目的から利用目的にシフト

今まではビットコインは投機目的での購入が中心でしたが、次第に利用目的にシフトしつつあります。

それをますます加速させる存在で注目されるのは世界のEC事業者です。

USA楽天ではビットコイン決済をはじめました。
35億人の利用者を擁するAmazonもUSAではビットコイン決済を導入しています。

というのも前述の飲食店ではクレジットカードの手数料が大きな負担となっていると述べましたが、
Amazonの場合は、全世界の1年間の売り上げは約20兆円で、そのうち半分がクレジット決済といわれています。
仮に1%だとしても1000億円のクレジット手数料を払っているわけです。
それがビットコイン決済になれば、これだけのクレジット決済手数料が無くなることを意味しています。

以前にAmazonは、ビットコイン決済をすると10%引きのキャンペーンを行いました。
これほどのことをしてまで、Amazon上に利用者のビットコインウォレットを獲得したいということになります。

 

マイニング業者は個人を含め3万社

ハッシュレートとは、仮想通貨においてマイニングで使われる指標の一つです。
ビットコインにおけるマイニングでは、およそ10分の間に世界中のマイナーが一斉に計算を行い一つの答え探します。
この時の1秒あたりの計算回数をハッシュレート(採掘速度)と言います。
例えば、1Mhash/sでは1秒間に1,000,000回計算が行われていることになります。

ハッシュレートが高いということは、多くの人々(正確にはCPUの数)が参加していることを意味しています。

ブロックチェーンインフォでは、2万件のマイニングのうち15位までのマイニングシェアがリアルタイムで掲載されています。

ビットコイン・ハッシュレート分布
https://blockchain.info/ja/pools

2018年5月現在でのシェアの順位は、

1位:BTC.com:27.7%
2位:AntPool.com:13..5%
3位:ViaBTC:10.9%
4位:SlushPool:10.3%
5位:Unknown:9.8%

となっています。
Unknownマイナーは、特定できない誰かとされており、その集団になります。

 

同族会社のBTC.comとAntPoolで4割のシェア

BITMAINとは、2013年設立の北京に拠点を置く会社で、ビットコインのマイニング(採掘)用のASCIチップを開発、販売、マイニングを行っています。

MITMAINは2社「Antpool」、「BTC.com」の子会社を作っていて、この2社でマイニングシェアの約40%を占めています。

Antpoolがマイニングしているのはビットコインのみならず、LTC(ライトコイン)、ETH(イーサリアム)、ETC(イーサリアムクラシック)、ZEC(ジーキャッシュ)、DASH(ダッシュ)、BCH(ビットコインキャッシュ)の7種類です。

ちなみに、AntpoolはBitfury(シェア2.6%)とも提携しており、Bitfuryは世界一のマイニング用チップ生産企業でもあります。2017年10月に東京オフィスを開設とともに、国内大手保険グループである「SOMPOホールディングス」と戦略的パートナーシップ契約を締結。
ノルウェーで新たな仮想通貨ビットコイン鉱業センターを37億円を投じて開設すると報道。ノルウェー国内には「莫大な投資と雇用をもたらす」として、政府が歓迎していると報じられました。(2018年3月)

また、AntpoolはBitClubNetwork(シェア1.5%)と提携。
Bitclubがantpoolの運営会社Bitmainのマイニング機材を使う代わりに、BitmainはBitclubには割安で販売しています。さらに、BitClubNetworkはBitFuryとマイニングチップの独占契約を締結。最新式のマイニングチップを世界のマイニングプールに先んじて使えるようになりました。

マイニング機材メーカーであるAntpool、チップメーカーであるBitfuryに対して、BitClubは世界中から一般投資家を集める営業会社という位置付けで、3社は連携しているといえます。

 

今からでも間に合う?GMOとDMMがマイニングに参加

先日、GMOグループとDMMグループがこぞってマイニングに参加表明しました。
ともに投資額は100億円。GMOの場合は一般投資家からも出資を募集しているそうです。
また、熊本電力もマイニング事業に参入、仮想通貨事業に参入表明した楽天もまた参加するのではないかという噂もあります。

ちなみに、すでに5カ国にマイニングプールを展開する先述のビットクラブは、新規マイニングプールへの投資額は300億円といいますから、まだまだ国産マイニングプールは小規模だと言えます。

以上、ビットコインについて、そしてマイニングについて解説をいたしました。
ビットコインは買うだけじゃない。マイニングもこれからが熱いということもちょっと念頭に置いてみると面白いかもしれません。

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