みんなのビットコインの伊藤誠規社長「ジャパンクオリティを世界マーケットへ」

暗号通貨取引所を運営する「みんなのビットコイン株式会社」を訪問し、5月17日に著書『初心者が失敗しない 取引所だけが書ける「仮想通貨」投資術』を出版された代表取締役社長の伊藤誠規さんにインタビューをさせていただきました。

どのような思いで執筆されたのか。また、国内の暗号通貨取引所はすでに20社ちかくあるなかで、後発である同社のトップはどんなことを考えているのか。ざっくばらんにお話しいただきました。

みんなのビットコインとは

みんなのビットコイン株式会社は、東証ジャスダックに上場しているトレイダーズホールディングスの100%子会社トレイダーズインベストメントの子会社です。
グループ企業には、口座開設数30万、FXサービスではトップクラスの「みんなのFX」を運営するトレイダーズ証券株式会社があります。

暗号通貨の取引所である「みんなのビットコイン」は2017年3月にサービス開始。
取扱暗号通貨は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)。
取り扱い法定通貨は日本円以外に、米ドル、ユーロ、豪ドル、シンガポールドル、香港ドル、人民元、インドネシアルピア、フィリピンペソ、インドルピー(入出金は日本円のみ対応)。

 

みんなのビットコインの取引所の特徴として、

・BTC/JPY(ベース通貨)での現物取引が手数料無料
・高機能な取引ツール
・レバレッジ取引も可能で最大25倍
・お問い合わせはメールで24時間受付
・2段階認証や普段利用されないIPアドレスからのログインに対する即時通知
・取引できる法定通貨の種類が多い

などがあげられます。

なお、今後大幅なリニューアルやアプリリリースが予定されております。

「スマホゲームのように説明書がなくても誰でもすぐに使えるユーザーインタフェイスにしたい」という伊藤さんの言葉が印象的でした。今後のサービス拡充に注目です。

 

世界を変えるコイン| みんなのビットコイン – 安心の国内取引所

 

伊藤誠規さんってどんな人?

 

みんなのビットコインの設立前はトレイダーズ証券の取締役(FX事業責任者)、現在はトレイダーズホールディングスの執行役員やシステム会社であるNextop.Asia取締役を兼任されています。

大学卒業してから暗号通貨取引所を設立するまで、FX一筋で10年以上のキャリア。
最初に就職したFX会社では、FXオンライン事業の立ち上げを担当、取締役に就任後FX事業を取引高業界No.1のサービスに育て上げました。

2011年にトレイダーズ証券に入社。マウントゴックス事件が世間を賑わした2014年にはいずれは暗号通貨取引所のビジネスに携わるんだなあという予感はしていたそうです。

著書に『バイナリーオプション超入門「上か」「下か」を選んで待つだけのシンプル投資術』があり、今年5月に『初心者が失敗しない 取引所だけが書ける「仮想通貨」投資術』が出版されました。

初心者が失敗しない 取引所だけが書ける「仮想通貨」投資術

 

DMMやGMOなどFX事業者の暗号通貨取引所への参入があいついでおりますが、FX事業者参入組ならではの他の取引所との違いはなんでしょうか?

伊藤氏「コンプライアンスや顧客保護の考え方は非常に強いと思いますし、お客様が簡単に使えるユーザーインターフェイス(UI)や、お客様が安心して利用できるための仕組みなどは強化されていると思います。

お客様から預かった資金を守るという観点では色々な技術や知見があるので安心してご利用いただけるのではないかと思います。

不正送金のあったコインチェックが「セキュリティ」を第一に掲げたように、セキュリティに対する投資や優先順位はどこよりも重んじているのではないかと思います。」

 

『取引所だけが書ける「仮想通貨」投資術』の出版の経緯をお聞かせください。

伊藤氏「出版社から声がかかり、出版に至りました。この分野では、暗号通貨やブロックチェーンの技術に偏った本や業者の都合に偏った本はたくさんあります。今回はそういう偏りをなるべく排除して、業界内部の目線ではあるけどオープンなスタンスで書きました。

ですので、当社のサービス紹介は一切なく、ビットコイン初心者の方が安心して読める本になるように心がけました。暗号通貨の啓蒙が目的です。

私たちFXからの参入後発組はこれからこの業界を盛り上げる役割だとおもっています。
そのためにも、今まで切り拓いてくれた先人たちのイノベーションを崩さないことが重要なので、

これから仮想通貨投資をはじめようというお客様に少しでもこの世界のことを知ってほしい、世界を変える技術である、未来を変えるお金であるという思いから書いたというのが経緯です。」

 

初心者が失敗しない 取引所だけが書ける「仮想通貨」投資術

どこの取引所を選べばいいのでしょうか?

伊藤氏「まず、国内の登録業者(取引所)を選んでください。ライセンスがない業者の日本居住者への営業は禁じられているため、海外の取引所での取引はやめてください。取引や出金に関わるトラブルが数多くあるのが現状です。

とはいえ、国内の登録業者で知名度があれば絶対安心というわけではありません。今回の事件(コインチェック事件)では知名度があれば安心ということではないことが公になりました。その会社の財務基盤や安心できる要素を調べてみておくことが大切だと思います。

たとえば金融の経験値があるところ、FXや株取引をグループが取り扱っているところ、上場している企業などです。システムが重いとかダウンしたということなども調べればネットで即出てきます。

手数料やスプレッドは二の次で、まずはお金を預けて安心かという視点が大切です。1日に何十回も取引するような方は手数料やスプレッドは重要かもしれませんが、何よりも顧客保護の仕組みが重要だと思います。」

初心者はどの暗号通貨を買えばいいのでしょうか?

伊藤氏「暗号通貨の世界は非常に足が早いので数年後のことはわかりませんが、今なら、やはり「まずはビットコインを買ってください」ということになります。2番目といえばイーサリアムですが、これ以外の通貨に関しては個人的には『初心者であればまだ買わなくていいんじゃないですか』と思っています。

何倍も跳ね上がるような通貨は魅力的ですが、その分リスクがありますので、『そのリスクをあえて楽しむ』ことは初心者にはオススメしません。ビットコインですら価格変動は他の投資商品に比べて非常に大きいため、レバレッジ取引ではなくまずは現物取引をおすすめします。」

「みんなのFX」の経験は「みんなのビットコイン」でどう活かされるのでしょうか?

伊藤氏「みんなのFXは、何も知らない初心者が始められるようにサービス設計されています。たとえば、配信している動画セミナーは会員ではなくても視聴できます。みんなのビットコインでも、ビットコイン投資を始める前に、暗号通貨のことやブロックチェーンのことを理解できる場を提供したいと考えています。

まずはビットコインを現物で買ってみることだけをオススメしていますが、慣れてくれば他の通貨も買ってみるでしょうし、投資効率を考えればレバレッジ取引や信用取引もやってみようと思うでしょう。

その時々にお客様もここで学ぶことができるようなサービスにしていきたいと思います。お客様と一緒に育っていくサービスにしたいです。名前にあるとおり「みんなの会社・サービス」であり続けることが一番大事だと思っています。」

 

ビットコインはどこまで値上がりすると思いますか?

伊藤氏「正直わからないと答えています。私が暗号通貨の世界に入った大きな動機は、暗号通貨やブロックチェーンの技術がすごいということであって、「値段が上がる、下がる」という観点ばかりで捉えられるのは正直寂しいです。

この技術が世界を変えて未来のお金を作っていくというのが本当の面白さだと思っています。ビットコインの価格が今後どのように動くかはわかりませんが、今後さまざまな技術がでてきて、暗号通貨も増えていくでしょう。

まだまだこの世界は始まったばかりと捉えています。暗号通貨全体の時価総額は益々上がっていくだろうし、暗号通貨の未来は明るいと思います。」

 

伊藤さんは、FXでは日本一の取引高のサービスを作り上げましたが、暗号通貨取引所は何を目指していますか?

伊藤氏「世界に出ることです。根本的に日本にとどまりたくはないです。

ジャパンクオリティは、技術の面でも、サービスの面でも世界最高だと思っています。
たとえば日本のFXサービスは、手数料は低いし、システムも安定しています。約定処理のシステムはトップレベルです。
しかしながら、それが海外に行くとなぜか戦えない。
システムが不安定な海外の業者が海外のマーケットをとっています。

とはいえ、日本のFX業者は自前のシステムを持っているところが生き残り、海外のシステムを使っているところはほとんど残っていません。それは、暗号通貨の世界でも同じことが言えるのではないかと思います。

FXの取引高では日本はトップだけど、日本のサービスは海外に進出しても定着できませんでした。
ビットコインの取引高では日本はすでにトップクラスです。
FXの時と違うのは扱う通貨が日本円ではなく、世界中の人々が利用しているビットコインです。
だからこそ、世界の暗号取引所のマーケットをひとつひとつひっくり返して行きたいなと思います。

初心者にやさしいのは日本のUIだと思います。海外のUIはプロ向けというか少しわかっている人向けのUIという印象をうけます。現在の「みんなのビットコイン」のUIも少しわかっている人向けのUIですが、リニューアル後は、日本の取引所のUIよりももっと初心者に使いやすいUIにしていこうと思っています。」

 

伊藤誠規さんのインタビューを終えて

「FXで叶えられなかった海外への本格的進出をクリプトで」という言葉が印象的でした。
すでに暗号通貨取引所の最大手のビットコイン取引高は5兆円を超えている中、FX業者からの後発組の参入動機を垣間見ることができました。

まだまだ暗号通貨の世界は開けたばかり。今の取引高だけで判断するのは早計かも知れません。
今後、顧客ファーストが行き届いたサービスに向けて、ますます競争が激化するのは間違い無いですし、
その競争がジャパンクオリティを世界にも広げることにもなると思うと胸が熱くなります。

i-modeが切り拓いたモバイルインターネットが世界のスタンダードにならずに、スマートフォンに駆逐されたことを私たちは見てきました。ネット事業ではamazonやgoogle、アリババやfacebookなど世界トップ企業に日本の名前はありません。暗号通貨の世界では、まだまだ日本勢にもチャンスはあります。

暗号通貨ブームに乗る人々が、サービス競争を激化させ、それが海外マーケットを奪う源泉になる。
このブームを一過性に終わらせず、産業の健全な発展に向けて尽力する人たちもいる。

そんなことを感じたインタビューでした。

そんな伊藤さんが執筆した『初心者が失敗しない 取引所だけが書ける「仮想通貨」投資術』、今後仮想通貨投資を考えている方、始めたばかりの方、是非手に取ってみてください。

 

聞き手:藤永真至(暗号通貨ライター)

 

初心者が失敗しない 取引所だけが書ける「仮想通貨」投資術

 

世界を変えるコイン| みんなのビットコイン – 安心の国内取引所

 

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