5つのポイントですぐにわかる!ビットコイン分裂の危機が起こったワケ。

資産を増やすためにビットコインへの投資を開始したのが今年の5月。順調に値上がりをしていたのに、2017年7月中旬にビットコインの価格が暴落しました。。次に同じような状況になった時のために何が起こったのか自分になりに調べてみました。

ビットコイン分裂の危機

暴落の原因は、一言でいうとビットコイン分裂の危機が訪れたからでした。
ビットコイン分裂の危機と言われてもなんだかよく分かりませんよね。
そこで、今のビットコインが抱えている問題点や背景も踏まえて説明したいと思います。

この分裂の危機の説明にはあまり耳慣れない言葉が出てきます。
まず説明の前に用語の解説をさせて頂きます。説明ではできるだけ簡略化しています。

・ブロックチェーン
ビットコインの取引台帳。
ビットコインの取引が記録されているデータベース。
取引記録を1つのブロックにまとめて、そのブロックを鎖(チェーン)のようにつなげて保存している。

・採掘(マイニング)
ビットコインの取引が正しいかを計算して検証し承認すること。
採掘は世界中の有志が用意したコンピューターで行われている。
採掘の報酬として新規に発行されたビットコインが受け取れる。
計算は10分に1回で回答は早い者勝ち。1位だけがビットコインの報酬をもらえる。

・マイナー
採掘をする人達。

・ハードフォーク
互換性の無いアップデート。
ブロックの大きさを大きくすることで、ブロックの中に入れられる情報を増やす方法

・ソフトウォーク
前の仕様にも対応した互換性のあるアップデート
ブロックの大きさはそのままで情報を圧縮していれることで、ブロックの中に入れられる情報を増やす方法(セグヴィット・Segwit)

・ビットコインアンリミテッド派
ハードフォークを支持する人達

・ビットコインコア派
ソフトウォークを支持する達

ビットコインが分裂の危機になった背景

ビットコインは何故分裂の危機に陥ったのでしょうか?
まずはその背景から覗いていきたいと思います。

仮想通貨は新しい通貨
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、まだ新しい通貨です。
仮想通貨でシェア1位のビットコインでも2009年に誕生したかりです。
仮想通貨はまだ黎明期と言うことができるでしょう。
ビットコインが使えるお店やビットコインを使っている人は、周りを見渡しても少ないと思います。

なのでシェア1位のビットコインもまだ完全な状態ではありません。
そして、ビットコインの弱点が露呈したのがユーザー増でした。

ビットコインは2009年以降徐々に知名度が上がってきました。
2014年のマウントゴックス事件をきっかけに知ったかたも多いかもしれません。
マウントゴックス事件はビットコイン取引所からビットコインが消失したという事件でした。
実際には、この事件が起こった原因はビットコイン自体のセキュリティの問題ではなく、取引所を運営していたマウントゴックス社のセキュリティやCEOの横領だったのですが、ビットコインが危ないというイメージが浸透してしまいました。なのでビットコインの投資に二の足を踏んでいた方も多いと思います。

しかし、一方ではビットコイン投資で利益を上げる人達の情報も流れていました。
2016年末くらいから2017年にかけてビットコインは一気に値上がりし1BTC10万円程になりました。
また、マウントゴックス事件や仮想通貨利用者の増加を受けて、日本でも仮想通貨に関する法整備が進みました。2017年4月に改正資金決済法が施行され、取引所事業者の登録などがの義務化されました。

そして、価値が高まったことや法律が整備されたことも伴い、ビットコインのユーザーが急激に増えました。

このユーザー増よって見えたビットコインの弱点が処理速度です。
取引量が増えたことにより、ビットコインの処理速度が遅くなったのです。

ビットコインは世界中の人達が使うことを目的としています。
なので将来描く規模を考えると、このくらいのユーザー増で処理速度が遅くなるのでは問題があります。
ユーザー増とは言え、世界規模で見るとまだほんの一部だからです。
この問題を解決しないとビットコインは伸び悩みますし、利用者が増えないとその価値も上がりません。

そこで、処理速度を早くする必要があります。
そして、この処理速度を早くするための方法を巡って2つの意見が対立しました。
これがビットコイン分裂の背景です。

システム改善の方法で対立

マイナーは中国のシェアが一番

ビットコイン取引の処理は採掘(マイニング)と呼ばれ、採掘する人達のことをマイナーと呼びます。
採掘は計算です。なので勝負に勝つためにはたくさんのコンピューターを必要となり、土地代や電気代がかかります。
マイナーは世界中にいるのですが、採掘の8割が中国で行われていると言われてます。
何故なら、中国は電気代が安く土地も広いので採掘に向いているからです。

ビットコインアンリミテッド派vsビットコインコア派

マイナー達はビットコインの処理速度を早くする方法を考えました。
そして導き出されたのがSegwitという方法でした。これはソフトウォークです。
Segwitはブロックサイズは変更せずに、情報の重複を無くすことで空き容量を増やす方法です。この空いた部分に別のデータを入れることができるようになります。Segwitで60%程入れる情報量が増えると言われています。そして、この方法で処理速度を早くしても、これまでのビットコインもそのまま使えるというものです。この方法を支持する人達をビットコインコア派と呼びます。

しかし、この方法に反対するグループがいました。
この反対するグループをビットコインアンリミテッド派と呼びます。
アンリミテッド派の代表的な人物はウ・ジハン氏です。
ウ・ジハン氏はマイニングの機械を販売するBitmain社のCEOです。
何故ジ・ウハン氏がソフトウォークに反対するかは後述します。

そして、アンリミテッド派は、無理やりハードフォークを実行しようとしました。
ハードフォークは、ブロックの大きさ自体を大きくする方法で、これまでのビットコインの仕様と互換性がありません。このハードフォークで出来たビットコインをBTUと言います。
アンリミテッド派は、マイナーのシェアの高さに物を言わせて、このBTUを主流にしようとしました。しかし、このBTUにはバグがあり、そのバグをビットコインコア派に指摘されたのです。また、BTUが主流になれば、アンリミテッド派が権力を持つことになります。
これはビットコインの開発目的である非中央政権という仕組みに反することになります。

ちなみに、ビットコインを売買するプラットフォームである取引所は、ソフトウォークのビットコインコア派を支持しました。ハードフォークを実行した場合、ビットコインは2つのコインに分かれます。ビットコインコア(BTC)とビットコインアンリミテッド(BTU)です。もしハードフォークが起こった場合、取引所のユーザーは混乱することになります。取引所はユーザー保護の観点からソフトウォークを支持したのです。

一方でビットコインで億万長者になった有名人ロジャー・バー氏はアンリミテッド派を支持しています。

この対決は、分かりやすく言うと「ウ・ジハン氏&ロジャー氏&その仲間」vs「その他の関係者(ビットコインのユーザーや取引所など)」という構造になっています。

両派は話合いを続けますが、解決の道が見えません。

ではなぜ、ソフトウォークであればこれまでのビットコインと互換性があり、取引所も支持しているのに、何故、アンリミテッド派は頑なに反対するのでしょうか。その理由が判明しました。

ビットコインアンリミテッド派とASICBooST

反対する理由

ハードフォークを主張するアンリミテッド派が、ソフトウォークのSegwitを反対していた理由、それはマイニングを行う機械の問題でした。

現在、ビットコインのマイニングを行う機械の7割はBitmain社製と言われています。7割も使われている理由は特許技術であるASICBoostを持っているからです。ASICBoostはビットコインの計算を20%~30%高速化できる技術です。
先述したようにビットコインは一番最初に計算を解いた人にだけ報酬が与えられるので、このASICBoostを搭載した機械がシェアを取ったのです。

そして、実はASICBoostがSegwitに対応していないことが判明します。
つまり、7割のシェアをほこるASICBoostが使えなくなるということです。
ハードフォークを主張するグループの中心はBitmain社CEOのジ・ウハン氏です。
Segwitが採用されるとBitmine社のマイニングマシンが無価値になってしまう、これがアンリミテッド派がソフトウォークに反対していた理由だったのです。

高まる対立

アンリミテッド派は上記のような理由でソフトウォークには絶対に反対です。
一方でコア派はソフトウォークで解決したいと考えています。話合いは平行線をたどります。

そんな時に、マイナー達だけでビットコインの将来を決めるのことに異議があがりました。
ある匿名のユーザーがユーザーによるソフトウォークを提唱したのです。これをUSAF(User-Activated soft Fork)といいます。UASFは、マイナー以外のユーザー(取引所や開発者など)がSegwit方式のブロックしか認めないルールを作るというものです。このルールが適用されると、Segwit以外のブロックを採掘しても報酬の対象外になります。なので、報酬が報酬が欲しいマイナー達は賛同せざる得ないだろうという発想です。
そしてコア派はこれを採用し、8月1日にUASFソフトウォークを実施することを発表しました。

そして、もちろんアンリミテッド派のジ・ウハン氏もそれに対抗します。
UAFH(User Activated Hard Fork)です。ブロックサイズを変えるハードフォークです。
UAFAとありますが、実際にはBitmainが独自で実行するので「Bitmain Activated Hard Fork」と言えるでしょう。

SegWit2×という案

ビットコインコア派はUASF、ビットコインアンリミテッド派はUASFを支持することになりましたUASFはソフトウォークですので、ユーザー、取引所、ウ・ジハン氏グループ以外のマイナーが支持しており、UASFはウ・ジハン氏グループが支持している構造です。いよいよ分裂の危機です。

そこに現れたのが、バリーシルバート氏のSegWit2×という案でした。
SegWit2×はSegwitを実装しながら2018年2月までにハードフォークをするという内容です。

そして驚くことに頑なにSegwitを拒否していたウ・ジハン氏や中国のマイナー達のアンリミテッド派がSegWit2×に賛成を表明したのです。これは、SegWit2の開発者の1人がASICBOOSTの考案者だったからとも言われています。もしかするとSegWit2×でASICBOOSTが使えるということかもしれません。

SegWit2×は7月21日にソフトウェアをリリースし8月1日までにSegWit2×にする予定です。
これはUASFの仕様設定日の8月1日より先んじて出そうと組まれた予定です。
ビットコインコア派は、こんな急ピッチで作られたプログラムがきちんと作動するのか、ASICBOOST対策しているのではないか、と心配になっています。

今回の分裂の危機、いったんはソフトウォークでしのぎましたが、6か月後にはハードフォークする内容になっていますので、将来的にはビットコインの分裂は避けられないのかもしれませんね。分裂の危機がある度に、相場の暴落や取引所の停止や決済停止が起こっていたら、ビットコインへの信用度も落ちますし、使いずらい通貨になってしまいます。

まとめ

ビットコインの暴落の原因となった「ビットコイン分裂の危機」について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。ビットコインの処理速度を速める方法についての対立ですが、要は主導権争いだと感じました。ビットコインがマイナー達の採掘によって成り立っていることを考えれば、マイナーの数が多く計算力が高い方が有利と思われます。

そして今マイナーの計算力が高いのはハードフォークを望んでいて、SegWit2×を支持しているビットコインアンリミテッド派です。SegWit2×の支持を見るとアンリミテッド派=中国と言えるかもしれません。ビットコインは非中央集権という目的で作られましたが、もし中国が主導権を握った場合、一国の思惑でビットコインが動いていきそうな予感もして心配になります。ビットコインの主導権争いは中国vsその他になるかもしれませんね。

最後にビットコインの分裂危機が訪れた場合の対策を考えてみました。
1・法定通貨に替える
2・ハードウォレットに移す
3.一旦アルトコインに替える

ビットコインはその価値が保証されていない通貨です。
ビットコインの分裂やビットコインに関する情報は逃さないようにして、資産を守っていかないといけないですね。

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